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COCET通信        第5号 (2001.11.11)
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目    次

巻頭言          木更津高専 中村俊昭
                          (COCET副会長)
特集 COCET第25回京都大会
第25回京都研究大会開催される          長野高専 小澤志朗
                          (COCET会長)
  第25回COCET大会に参加して         北九州高専 大谷 浩
  Some Impressions on the COCET Kyoto Conference
                        富山商船高専
                         Charlton B. Moananu

TOEIC(IPテスト)の導入            岐阜高専 清水 晃

英語科紹介
「北九州工業高等専門学校英語科」        北九州高専 山本一夫

退官教官ごあいさつ
「駈けだし教師の独り言」         旭川高専 竹内 訓

事務局より

編集後記

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             巻 頭 言
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  「直流」から「交流」へ ――― 真の国際舞台での活躍めざして
木更津高専   中村俊昭

英語教育の分野だけでなく、留学生の受け入れなどにも、多く「国際交流」
という言葉が頻繁に用いられている。しかし、本当の交流を推進するなら自国
のことを相手に分かってもらう努力がもっと必要になってくる。いろいろな場
面で言われる「交流」は、実際は直流の交換をしているだけのように見えるか
らである。JETプログラムは英語に関して言えば、米英加豪ニュージーラン
ドに南アフリカを加えるそうである。年間5千人以上の若者を英語指導の補助
として受け入れているが、中高の英語教員の派遣は3桁になっていない現状で
ある。高専の留学生の大半はアジア諸国からの学生であるが、それらの諸国へ
高専生が留学することはめったに無い。直流に終わっているケースは他にも多
くの場面で見受けられる。
 電流はある方向に一方的に流れている時は直流であるが、時間が来たり、あ
る条件が加わって逆方向へも流れるようになると交流になるという。まさに、
そのタイミングが重要であるが、多くの面で現在は「流れ」を変える必要の時
期であるし、変えられる可能性の最も高い時であると思われる。
 人的交流の面だけでなく、英語指導の場でも同じ事が言えよう。
 英語の授業も「発信型」と言われて久しいが、まだまだ受信型の占める割合
は多いであろう。特に高専の授業は学習指導要領の制約を受けないので、高専
生の将来の英語の必要度から「自分のことを言える」力の養成をしたいもので
ある。もちろん基本の部分は徹底した訓練がなされることが条件ではあること
は言うまでもない。「ジャビー」対応などにより、高専生が国際舞台で活躍し
なければならない時期はそう遠くない。出来る限り多くの「交流」の場面のあ
る授業に変革していきたいものである。

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特  集   COCET第25回京都大会
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第25回京都大会開催される          長野高専  小澤志朗

 今年の研究大会は、京都市左京区の京大会館に於いて 8月26日(日)~27日(月)
に開催いたしました。国立高等専門学校協会からの後援も受け、参加者は賛助
会員を含めると77名となりました。
 開催日を昨年までの9月から8月に移動いたしましたが、日程の変更により、
参加しやすくなった方、また逆の方もおられることと思います。大会でのアン
ケートの結果は、26名の全回答中20名が今年の日程で「良い」という回答でした。
これをもとに来年度の日程を理事会で決めてまいります。

<理事会および総会>
 内容に関しまして項目のみを列記いたします。
1.人事について
2.顧問および特別会員のあり方について
3.研究大会の内容を理事会で事前に検討し、方向付けをすることについて
4.日程の変更について(8月末の最終週末への変更)
5.紀要(論集)に論文として掲載する基準について
6.COCETのロゴマーク作成の提案について
7.COCETホームページ、COCET通信、メーリングリストについて
8.フォーラムのテーマ「高専入学選抜問題(英語)のリスニング」について

<特別講演>
 関西大学助教授 靜 哲人先生による、演題「『やる気のない学生をどうする
か』をどうするか---英語授業における動機付けの本質を考える---」を拝聴い
たしました。
 先生は、「最初からやる気のない学生は本当にいるのかどうか、実際はやる
気はあるのだが、ついつい怠けてしまう学生がほとんどではないか」という根
本的な問題点をまず提起されました。「これではまずい」と学習者に思わせる
ような教師側の根気、工夫がぜひ必要であることを指摘されました。そのため
の具体的な手立てをご自身の実践例とともに示され、興味深く示唆に富んだお
話をお聞きすることができました。
 引き続き行われた意見交換会では、特別講演講師の靜先生の助言を交えて、
ノートパソコンを使用した英語授業運営などが話題にされました。

<研究発表>
 本大会では、16の発表がありました。 例年にも増して幅広く、多様なテー
マの発表でした。発表者、参加者に同じ「高専」というバックグラウンドがあ
るせいか、どのようなテーマにおいても議論が沸騰し、かみ合う点がこの学会
の特徴のひとつのように思われました。

<フォーラム>
 フォーラムで扱われたテーマは、次の通りです。
 1.高専入学選抜問題(英語)のリスニングについて
 2.TOEICについて
 3.科研プロジェクトについて
 4.その他
 このうちの、「高専入学選抜問題(英語)のリスニングについて」に関して
は、フォーラム出席者の間で、積極的に関係者にアピールしていこうというこ
とになりました。その準備の様子は、東京の村井先生からのメール等でご存知
のことと思いますので、詳細はそちらに譲ります。
 フォーラムで提出された議題に、外国人教師の配置の問題があります。これ
は、主に国立高専に関することですが、現在の外国人教師の高専への配置は、
高等学校と比べてみても遅れているとの意見は、大方の賛成するところのよう
に感じました。高専でこそ外国人教師の常駐の効果が大いに期待できるとの意
見も出ました。来年の大会で取り上げるべく検討中です。
 全体を通して見ると、非常に活気のある大会だったように思われます。
 最後に、数は多くありませんが、未加盟校の先生方が今後ぜひ加入してくだ
さることをお願い申し上げます。また、来年度の大会にもぜひ大勢の皆様のご
参加をお願い申し上げます。


第25回COCET大会に参加して     北九州高専  大谷 浩
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 高専に赴任して3年目の今年、初めてCOCET大会に参加させていただきました。
実はCOCET会員になったのも本年度からです。平成13年度科研費研究プロジェク
ト(企画調査)のチームに入れて頂き、6月、7月と全体会議を通じて他高専の
先生方とご一緒させていただく機会がありましたので、今年度COCET大会へ心理
的にも抵抗なく参加が出来ました。科研チームの皆様にはこの意味でも改めて
感謝しています。
 さて今回の大会では靜先生の講演をとても楽しみにしていました。高専赴任
時『英語授業の大技・小技』を読ませていただき、高専で授業をするに当たっ
ての心構えを十分にすることが出来ました。私自身が靜先生と同じように高専
赴任前は中高一貫私立学校に勤務しておりましたので、その「地に足のついた」
数々の工夫に感銘し、E-MAILも差し上げお返事も頂いていました。
 講演を拝聴して一番感じたことは靜先生の授業に対する飽くなき情熱でした。
英語教師が授業や評価に於いて直面する問題はだいたい似通ったもので、残念
ながら多くの教師がその問題に対し、何らかの理屈を付けて「仕方がない」と
諦めがちです。靜先生はそこを諦めない。しかもテスティングの理論などを熟
慮された上で独りよがりにならないdeviceを考案する。小道具もご自分の声、
小テスト用の紙、コンピューターと使えるものは何でも利用する。まさに「趣
味は授業」と公言されるだけのエネルギーの注ぎ方です。更にそうした工夫を
他の英語教師が参考に出来るように記事・論文を執筆し、講演もこなされている。
靜先生の姿勢に学び、少しでも日々よりよい授業を心がけたいと、気持ちを奮
い立たせました。『大技・小技』の最後に「結局工業系の学生だからという理
由で教材や予習の要求度を意識的に変えていた自分の浅はかさに気付いた」と
書かれていますが、私も最近似たような気持ちを抱いています。
 研究発表では実践報告的発表に興味を持ちました。亀山副会長が懇談会閉会
の言葉のなかで「COCETは同窓会のようだ」とおっしゃっていましたが、まさし
く各参加者は高専という独特の組織に所属し、良い点にも難しい点にも一定の
共通理解を持つ仲間のようです。COCETは「高専での(英語)教育をどうすべき
か」を真剣に論じ合う学会、という印象を受けました。来年からは研究大会に
テーマを設定することも検討されているようです。教育というものはあらゆる
テーマを包括してしまうので、確かに年ごとに発表の方向性を定めた方がその
議論に関する考察が深められるのかもしれません。
 高専は今後独立行政法人化の波を受け、大きな変革の時期を迎えるようです。
中学、高校とは違う研究機関の一員になった自分の立場を踏まえ、少しでも前
進して行きたいと思います。その過程でCOCET会員の皆様のお世話になることも
多いかと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。


Some Impressions on the COCET Kyoto Conference
           Charlton B. Moananu
           Toyama Shosen National College of Maritime Technology
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I'd like to give some comments about the meeting that was held in August.
 First of all, I think the location was appropriate because Kyoto is
known not only for its historical aspects but also for its quality
academics, (Kyoto University). The surrounding areas provided serenity
and a sense of peacefulness that must have been appreciated by all
participants. After the days' lectures and workshops, a nice stroll
near the river surrounded by trees with the beautiful views of the
mountains in the background put me at ease.
 Secondly, the seminar proved to be enlightening and also an excellent
chance for me to meet other teachers in my field. The keynote speaker,
from Kansai University, spoke on a topic that I have been struggling
with and gave me some valuable insight as to how to accommodate these
less motivated students.
Other speakers whose workshops I attended also provided indispensable
information that will further improve my teachings. Some, however,
particularly the workshop by Toyama Kosen's Professor Tateno, where he
used information technology in the classroom, caught my attention.
I thought if I were able to integrate such a system (on line), the
students could gain valuable pieces of information not only from me
but also from the internet. I would like to further discuss with him
how I could possibly incorporate such a system in my school.
 Thirdly, the interaction and connections that I have made through
this meeting will allow me to tap into other teacher's and professor's
knowledge bank should the cause arise in the future. Teachers who are
studying different aspects of the English language using different
techniques were very informative for me. I was able to use some of
these techniques after the seminar in my English conversation classes
which bore favorable results.
 Finally, I would like to say that overall the conference proved to be
informative as well as enlightening. However, there was one thing that
I hope could be considered for future conferences. At the meeting, I
was the only person who used English in a presentation. Granted everyone
was able to understand and asked quite complicated yet interesting
questions, no one delivered their presentations in English. I could
grasp about 60% of what was being said in Japanese but I thought
because this was an English conference, more teachers and professors
would conduct their presentations in English.
I honestly felt that more than 60% of those in attendance could have
easily delivered their workshops in English. None the less, I will
value the experience this meeting allowed me to have and look forward
to future COCET meetings.

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TOEIC(IPテスト)の導入    岐阜工業高等専門学校 清水 晃
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 平成12年1月、まだお正月気分が抜けきらぬ冬休み明け早々、学校長から
英語科教官全員に送られた一通のメールが岐阜高専における英語教育の新しい
幕開けとなりました。そのメールの趣旨は「本校の学生の英語力を高めるため、
何らかの英語検定試験を第3学年までに学生全員に受験させる計画を立案して
もらいたい」というものでした。
 その計画概要の提出期限は翌月末、さっそく英語科会議を開き、先ず、どんな
試験を導入するかについて話し合いましたが、お金を徴収して受験を義務化す
るとなると、ハードルが高過ぎて合格者が少なかった場合、英語科の日頃の指
導方法が問われかねず、また逆に、ハードルが低過ぎて特別に準備をしなくて
も合格できる試験となると、本来の目的を達成することができません。さらに、
ひとたび導入すれば、最低でも3~5年は継続させねばならず、選定に苦慮し
ていた頃、「文教速報」に掲載されたTOEIC関連の記事が学校長から示さ
れ、「この試験なら、平均点がどの程度になるかは気がかりなものの、『不合
格』は存在しないため強制受験させることに抵抗感は比較的少なく、また、学
生はスコアアップという目標の下、英語学習に励むことが期待できる」と考え、
思い切ってこれに決めました。

第1回目は学校行事として平成12年度の冬季に実施する、と年度当初に決定
しましたが、後期に大規模な校舎改修を行うことになり、第1回目は今年度に
延期され、4月25日に第4学年の全学生と希望者(計293名)が試験に臨
みました。当日は、実施に際してミスを犯さないよう細心の注意を払い、試験
監督は各会場2名(TOEIC実施団体からの派遣監督1名と教官1名)の体
制で臨み、無事に滞りなく終えることができました。ちなみに、専門学科教官
が8名も受験されましたが、何故かとても嬉しく思いました。
 受験者の励みとなるよう成績優秀者を対象とした表彰制度を設け、5月21日に
校長室で表彰式が行われました。表彰は、校長賞(最高得点者1名)、校長奨
励賞(2位と3位)、留学生特別賞(留学生最高得点者1名)の三部門を設け
ましたが、次回には、スコアの伸びが著しい学生も表彰の対象にしたいと考え
ています。
 今後は、平均点をアップさせるために指導法の改善に努めなければなりませ
んが、工業高専の宿命として工業英語の指導も一層充実したものにしなければ
なりません。今、個人的に思うことは、TOEIC導入以前からあった「限ら
れた授業時数で何を如何に指導するか?」という高専特有の困難な課題が、T
OEIC導入によって切迫の度を深めたということです。いよいよ、なりふり
構わずに、諸先生方からお知恵を拝借しなければならない状況に追い込まれて
きました。本メーリングリストでの活発な意見交換を期待する次第です。

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英語科紹介
「北九州工業高等専門学校 英語科」    北九州高専 山本一夫
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 いつのまにか英語科内で勤務年数だけは最長、(といっても15年に過ぎませ
んが)となってしまった私が代表として本校英語科の紹介をさせていただきます。
 この5年間というもの、英語科は幾度も押し寄せる大きな荒波に翻弄されて
きました。平成8年4月に設置された専攻科では、前校長の打ち出した「社会
人のための夜間開講」「国際的技術者育成のための英語力の強化」というスロー
ガンの下、1年生だけでなく2年生にも英語が必修科目となり、さらに放送大学
の指導まで加わり、英語科の負担は大変なものになりました。その当時一般科
目(現在は総合科学科と改称)の学科長であり、専攻科主事補でもあった上杉
直幸先生は、このままでは英語科は潰されてしまうとの危惧から、英語科代表
として現校長のところへ直談判に行かれ、2年目からは必修科目だけは一般科目
内の持ち時間14の中に含むことになり、負担が軽減されました。しかし過重な
激務やさまざまなストレスは、上杉先生の体をいつのまにか蝕んでおりました。
平成10年3月、学年末の成績を出された後、急遽入院された先生は3ヶ月後に56歳
で急逝されてしまいました。英語科の強力なトライアングルの一人であった中山
本文先生が平成6年に宮崎公立大学に転出され、平成9年には、上杉先生を高専に
強引に引き抜かれ、昭和40年代半ばから共に大車輪の活躍をされてきた秋吉稔
先生が定年退官されたことも、上杉先生にとっては精神的に大きな影響があっ
たかと思われます。
 この平成10年は英語科が25年間実施してきた「全校共通英語試験」(12月末
の後期中間試験の最終日に全学生共通の英語科自作の問題を与え、採点・集計・
統計を取る)を廃止した年であり、新たに実用英語検定試験による単位認定制
度を導入した年でもあり、一つの大きな節目の年となりました。その後、英語
科を引っぱってこられたのは、県立高校でバリバリ生徒を鍛えてこられた水本
實先生で、着任は私の翌年ですが、年齢では一回り近く上で、公私とも最も頼
りになるベテランの先生です。高専を去られた3人の先生方の後任には、鳴門
教育大学より横山郁子先生、八代高専より木田裕美子先生、明治学園高校より
大谷浩先生が順次着任されました。平成に入って増え続ける女子学生(現在200
名弱)にとっても、お二人の女性の先生は欠くことのできない存在となってい
ます。また、大谷先生はCOCETの科研プロジェクトチームの一員であり、コンピ
ュータ関連の知識でも専門の先生にひけを取りません。
 本校の英語科は伝統的に、高校や高専の現場で豊かな教育経験をお持ちの先
生を採用するという暗黙の了解が生き続けています。
 前・後期の定期試験4回、実力試験2回、編入試験、専攻科入試2回、それに
推薦入試用面接問題と英語科は各種試験問題の作成に追いまくられています。
さらに今年度からすべて90分授業に変わり、学生を引きつけておくのは大変だ
と思われますが、学生の英語力向上のためには先生方は絶対に手を抜かれません。
英語の苦手な子には放課後呼び出し指導をされますし、大学編入学を希望する
学生には親身になって相談に乗り、英検の事前指導にも力を入れていただいて
おり、各種クラブ顧問としても活躍されています。近年、学力面でも精神面で
も多様な学生が入学するようになったことで、クラス経営もますます難しくなっ
てきていますが、1・2年10クラスの担任を受け持つ総合科学科で、毎年英語科は
3~4クラスを受け持っていることからも、学内で中心的な位置を占めているこ
とがおわかりになるでしょう。また、非常勤の先生方も、外国人講師2名、県立
高の校長を退職された大ベテラン2名、大手予備校で活躍されている先生といっ
た具合に多士済々です。
 ここで明るい話題をいくつか。平成10年の英検合格者への単位認定制度の導入
以来、受検する学生の数が毎回約70名を数え、2級に合格する学生も毎回5名程度
は出るようになってきました。さらに準1級に挑戦する学生もちらほら出てきた
のはうれしいことです。TOEICについては、今年度初めて、大谷先生の指導で
121名が受験し、平均点が324点で400点以上は20名だったそうです。英語学習
に意欲を持ち、真剣に取り組んでいる学生が高専にはまだまだたくさんいるこ
とを再認識させられました。
 また、昨年度は長年申請し続けていた専任外国人教師(3年間限定)が認め
られ、下関市立大学からマーク・フリン先生が着任されました。まだ30歳代前
半で、人間的にも魅力的な男性で、エネルギッシュに授業をされており、彼の
研究室を訪れる学生の数は私のところの何倍いや何十倍でしょうか。社会人向
けの公開講座も担当してくれましたが、今夏は、学生のオーストラリア英語研
修の企画を立ててくれ、彼の入念な準備、現地での対応のおかげで事故も無く
終了することができました。参加した学生にとっては、英語を用いての生活が
とても刺激になり貴重な経験になったようです。この企画が来年度以降も継続
できるようにしたいものだと思っております。なお、このことに関して先日、
先生方に突然アンケートをメーリングリストでお送りしましたことをお許しく
ださい。
 何かの折に校長に会うと必ず、「高専卒業生の英語力は・・・」「英検は・
・・、トーイックは・・・」「英語力をつける何か良い手段は・・・」「(CI
Aじゃなく)CAIはどうですか・・・」などとまくしたててきます。専門科目の
先生方からは上級生について「単語力がない」「文法がわかってない」「辞書
さえ引こうとしない者がいる」といった勝手な声も聞こえてきます。こうした
中で英語科の先生方はご自身の研究はもちろん、お世辞でなく、一生懸命に学
生の英語力向上に努力されています。最近の高専(だけではないでしょうが)
を取り巻く、何というか「気ぜわしい」状況に流されることなく、地に足をつ
けた歩みを地道に、着実に進めていくことが、わが英語科のモットーではない
かと思っております。


退官教官ごあいさつ 「駈けだし教師の独り言」  旭川高専 竹内 訓

 全国から英語教官の有志が集まり、高専における英語教育について論じ、高
等専門学校英語教育研究評議会と随分と長い名称の下でこの学会が発足したの
は1977年の夏頃だったと記憶しています。正直なところ、第1回の会合に
参加して以来、私は久しくこの研究会から遠ざかっていました。言わば、子供
を生みっぱなしにしていたようなものです。しかし、怠慢な私などとは無関係
に、この会は順調に育ったと思います。今は、「全国高等専門学校英語教育学
会」となり、毎年立派な研究成果が発表されるようになりました。それは有能
な会長さん方や理事の皆様、そして何よりも熱心な多くの会員に恵まれた故だっ
たと思います。ここ数年再び参加するようになり、この会の成長ぶりに感銘し
ました。退職を4ケ月後に控え、皆様の研究成果を聞きながら感じた事柄を二
つ程述べたいと思います。
 まずパソコン、そしてインターネットが英語教育の中で全盛であるように思
われることです。今この文を私はパソコンをワープロ代わりに使いながら、書
いております。その程度の使い方では時代遅れのようです。今は有能な英語教
師と呼ばれるには、インターネットや様々なソフトを駆使し、自分のホームペー
ジを持ち、授業の中でそれらを駆使して、学習者の興味を失わすことなく授業
を展開できなければならないようです。この状況は一昔前LL教室が英語教育の
中で大いにもてはやされた状況と似ています。しかしながら、装置の使い方に
熱中するあまり、肝心の英語そのものの力を教師自らがつける努力が疎かにさ
れてはいないだろうかと心配になります。勿論、そんな心配は無用なのでしょうが。
 次に、工業・技術英語に対する関心が何となく薄れてきたように感じた事です。
これもまた無用な危惧なのかもしれません。たしかに託間電波高専の平岡先生
が毎年「科学技術の基本語彙に関する一考察」と題して研究発表をされている
のですが、高専の学生が将来必要とする英語知識・英語力とは何かについて、
昨今再び混乱が生じているように思われます。この事は高専教育そのものが変
わりつつある事とも関係あるので、そうならざるを得ないのでしょうが。しかし、
高専の卒業生の大多数が今もなお技術系の職場で一生を過ごすことには変わり
はないと思うのです。そうであれば、科学・技術分野の話題を扱う英語を教材
に使うことが必要と思われます。言語そして英語が扱う分野は人間活動の全て
に及んでいます。5年間で20単位、1年で30週英語授業を行うとして、5
年間で600時間しかないのですから、取捨選択をしなければならないのは当
然なのではないでしょうか。現在日本社会で要求されている英語力は英語を一
手段としてとらえる考えに基づくものと思います。英語学習を「教養を高める
ため」という考えから脱皮しなければなりません。勿論、英語学習の副次的成
果として教養も考えられますが、それはあくまでも副次的成果であり、それが
目的になってはいけないと思います。
 英語教育の大家のように書いてしまいました。しかし40年も英語だけを教
えてきたのに、今でもまだ駈けだしの英語教師のような気がします。すごろく
をやっていて、ようやく「あがり」に着いたと思ったら、また「ふりだし」に
戻ったような気がしているのが私の今の気持ちです。40年前だったら、それ
でも情熱をもった駈けだし教師でしたが、今はその情熱もない駈けだしの教師
です。そんな教師はただ静かに姿を消すほうが良いでしょう。皆様、長い間の
お付きあい、有り難うございました。この学会のますますのご発展を願っています。

COCET事務局より
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いかがお過ごしでしょうか。来年度のCOCETの大会についてですが、東京高専の
荒木先生のご尽力で、来年度のCOCET研究大会の会場として国立オリンピック記
念青少年総合センター(オリセン)の予約ができました。

平成14年度、第26回COCET研究大会は、
・日時:8月24(土)、25(日)
・会場:国立オリンピック記念青少年総合センターで行うことといたします。
 一人でも多くの先生方のご参加をお願いする次第です。

編集後記
 COCET通信第5号をお届けします。お忙しい中を、快く執筆していただいた
先生方に深く感謝申し上げます。
 今回は第25回京都大会の報告、感想が中心となりました。大谷先生の感想
にもあるように、靜先生の講演は大変好評で、授業展開の方法に多くの示唆を
与えていただきました。また、チャーリー先生の、「英語で発表や討論を」の
ご意見も、確かにその通りで、今後少しでも、それに近づけるよう、英語教師
としてわれわれが努力していかなければならないと思います。
 2001年9月11日、あの世界を揺るがした大事件以来、はや2ヶ月。
厳しい冬を前にしてアフガニスタンの子供たち、多くの難民を思うとき、本当
に切ない気がします。日本がすべきことは何か。自分に出来ることは何か。
自問する毎日です。
師走も近づいてまいりました。沼津から見える富士山もすっかり冬の装いです。
(沼津高専 山岸文明)

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