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COCET通信                 第19号 ('10.03.11)
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目 次

目 次

(1)COCET第34回札幌大会雑感
            岐阜工業高等専門学校 亀山太一(COCET会長)

(2)学会賞を受賞して
         香川工業高等専門学校(詫間キャンパス) 森 和憲

(3)COCET札幌大会に参加して
                 北九州工業高等専門学校 渡辺眞一

(4)COCET研究大会に参加して
                  徳山工業高等専門学校 髙橋 愛

(5)高専間交流のすすめ
                  岐阜工業高等専門学校 鈴木基伸

 編集後記
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COCET第34回札幌大会雑感

              岐阜工業高等専門学校 亀山太一(COCET会長)

 今年度のCOCET研究大会は、初の北海道開催となりました。2004年は甲子園の深紅の大優勝旗が初めて津軽海峡を渡った年として記憶されていますが、2010年は多くのCOCET会員が初めて北海道の地を踏んだ年として記憶されるものと思います。
 北海道での開催にあたっては、理事の小野先生(苫小牧高専)を始め、北海道在住の先生方の献身的なご協力がありました。特別講演の講師として、北海道大学から園田勝英先生をお招きすることができたのも、小野先生のご尽力でした。この場を借りて、北海道の先生方にあらためてお礼申し上げます。
 大会は、1日目の情報交換会に始まり、特別講演、研究発表、フォーラムと続き、いずれも内容の濃い、それでいて楽しい、すばらしい大会になりました。特に、若い先生方や、若くはないけれど(失礼!)バイタリティあふれる先生方の発表には、思わず身を乗り出して聞き、質疑応答ではついつい余計なコメントまでしてしまい、発表者の先生には失礼だったかと今さらながら反省しています。
 心配された発表者数も参加者数も、ふたを開けてみれば例年とほとんど変わらない盛況ぶりで、大会の前後も含めて、北海道の夏を満喫された方も多かったのではないかと思います。
 さて、今年度は、私にとっては会長として最後の年になりました。札幌大会前日の理事会で、次期会長に仙台高専の武田淳先生、副会長に大分高専の穴井孝義先生と香川高専の森和憲先生が選出され、総会での承認を受けたことで、安心してバトンタッチできる体制ができたわけです。
 思えば、何もわからないままこの仕事を引き受け、わがまま放題でやりたいことをやらせてもらい、にもかかわらず大きな失敗もなくここまで来られたのは、ひとえに私を支えてくださった副会長の崎山先生と武田先生、そして理事ならびに会員の皆様のおかげだと思っております。まだ数ヶ月の任期が残ってはいますが、ひとまず大きな仕事を終えた後ということで、これまでの皆様のご協力に感謝を申し上げる次第です。ありがとうございました。

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学会賞を受賞して

                      香川高等専門学校 森 和憲

 平成21年度学会賞の受賞のニュースを聞いた時、深田先生、太田先生というビッグネームの後に私のようなものが頂いてよいのか、というのが最初の感想ですし、今でもそう思っています。先のお二人は誰が名前を聞いてもご存じでしょうし、それだけの業績を残されていらっしゃいます。それに引き換え自分はどうでしょう。「その年の論文の中から」、というくくりとはいえ、すばらしい論文を執筆されている先生を差し置いて選ばれるには、自分にはあまりにも業績や実績がないと思います。
 ただ一つ、実績とはいえませんが、自分が努力してきたことを挙げるとすれば、それは故平岡禎一先生の意思を引き継いで、こつこつと与えられた仕事をこなしていっているということではないでしょうか。校内の業務はもちろんのこと、『COCET3300』の編集から全国高専英語プレコンにいたるまで、本来平岡先生がするはずだった仕事を私が担当することになりました。残念ながら平岡先生が同じ仕事をした場合と比べると、完成度の面で全く及ばないとは思いますが、それでもできるだけのことはしようと全力で取り組んで参りました。その結果として今回の受賞のような仕事ができたのだと思います。
 さて、受賞論文の研究についてですが、これは香川高専詫間キャンパスの三﨑幸典教授の発想から始まりました。三﨑教授はこれまでロボコンに力を入れてきた先生で、「レゴ・マインドストームを英語で組み立てさせたら、実践的な英語を使う訓練になるのではないか」との提案が私にありました。そこで言われるままにやってみたところ、これは使える、と思い、そこにインフォメーションギャップ活動を取り入れることで、英語教材として使用できるようにしました。しかし、レゴ・マインドストームは高価ですので、なかなか大量購入して大人数の授業で使うことはできませんでした。なにか良い方法はないかと1年くらい考えていましたが、娘を連れて行ったおもちゃ屋さんで、ベンチに座って休憩していたところ、たまたま安価なレゴ・クリエータシリーズが正面にあって、私の目にとまったのです。このような偶然から結果的には受賞論文が書けたのですが、これもひょっとすると平岡先生が天国から仕向けたものなのかもしれません。
 今思えば平岡先生とご一緒させて頂いた時間はほんの数年でしたが、その短い間に、本当にいろいろなことを与えていただいたと思います。
 まだ受賞の報告はできていませんが、雪がふる前に御仏前に報告に行きたいと考えております。

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COCET札幌大会に参加して

                   北九州工業高等専門学校 渡辺眞一

 10年前の修学旅行引率以来の北海道。千歳に降りて手を洗った水の、まるで冷水機から出てきたような冷たさに北国を感じました。どこまでもまっすぐ延びる線路を札幌に向かいながら、北海道にまで出張に来ていることに県立高校からの転職をあらためて実感させられます。狭いホテルの部屋を逃れるように外に出ると、街には両手に買い物袋を持った中国人がいっぱい…「いったいなぜ?」。翌朝、快晴の大通公園を歩いてCOCET会場に向かい、さっそく「情報交換会」です。古い言い方で恐縮ですが「へぇ~!」がいっぱいでした。次回は私もネタを仕入れておきます。
 引き続いての講演会、研究発表は高専に特化した情報が満載でとても勉強になりました。特にハイテク機器を利用した英語教育に関する研究が多いことが印象的でした。発表資料には手書きのメモがいっぱいです。そして会場を移しての懇親会。大谷先生のご紹介のおかげで多くの方々と知り合うことができただけでもたいへん有意義でしたが、他高専の先生方から他では得難い情報をたくさん仕入れることができ、これにもまた大きな価値がありました。話に夢中になりながらも口にするサッポロビールが、魔法がかかっているとしか思えないほどうまい!ついつい飲みすぎてしまいホテルまで帰るののきつかったこと…。夜の大通公園を「これからはちょっとぐらい高くても懇親会会場のホテルにしよう…」と後悔しながら、とぼとぼよろよろ歩きました。あ~、しんどかった。
 2日目は私も発表です。COCETの守備範囲が広いことに助けられ(ほんとうにありがとうございました)なんとか発表にこぎつけたテーマだったのに、思った以上に多くのフロアーの方々にいらっしゃっていただき、緊張しつつも無事終えることができました。質疑応答での意義深いやり取りに加え、発表後わざわざ廊下で呼び止めてくれて「もっとこうしたほうがよかったよ」とアドバイスをくれる方までいて、駆け出し高専教師を育てようとしてくれていることに心があったかくなりました。
 最終日は帰りの便が早いのでCOCETサロンを残しての出発になりました。タクシー運転手さんの「この夏の札幌は夜でも28℃あったよ!」に「こっちはそんなもんじゃありませんよ!」と言いたくなるのをこらえつつ、両手いっぱいの収穫を持ってまだまだ残暑厳しい九州へと帰って行ったのでした。来年もよろしくお願いします。

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COCET研究大会に参加して

                    徳山工業高等専門学校 髙橋 愛

 本年度のCOCET研究大会では、本校低学年を対象におこなった英語に対する学習意欲の分析調査に関する発表をさせていただきました。発表の機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。
 今回の大会で発表をさせていただいた調査を始めたのは、着任後に受けたショックがきっかけとなっています。私が徳山高専に着任したのはちょうど2年前のことですが、高専という学校についても「上位層の学生が進む理工系の学校」という漠然としたイメージしかない状態でした。漠然としたものとはいえ高専生に好感と期待を抱いて授業に臨んだわけですが、そんな私の前に立ちはだかったのは、敵意と呼んでもいいほどに強烈な学生の英語に対する苦手意識でした。授業となった途端に普段の礼儀正しさや人なつっこさを豹変させ、英語を断固拒否する姿勢を隠そうとしない高専生の姿は、「嫌でもやらなければいけないもの」として(嫌だとしても、その気持ちは押し殺して)授業を受けていた大学受験生や大学生をそれまで相手にしていた私にとって、衝撃以外のなにものでもありませんでした。授業をするたびに、「なぜ英語がここまで嫌われなければいけないのか…」と悲しみと怒りがないまぜになった気持ちになり、主任の国重先生に相談をしていたものでした。しかし、学生との間にある壁を破っていかなければ、教員としてはやっていけません。高専という未知の世界で教鞭をとっていくためにはまず学生のことを知らなければならないと感じ、国重先生と情報電子工学科の原田先生の協力をあおぎ、学生の英語に関する意識調査を実施することを決意しました。
 調査は、低学年(本科1~3年生)を対象に、英語に対する意識や英語学習に対する態度について問うアンケートを実施・分析をおこないました。その結果、本校の学生の傾向として、英語を学ぶ必要があるという認識は学年の進行とともに高まるものの、その認識が実際の学習につながっていないということが明らかとなりました。さらに、学習態度について分析したところ、授業外学習をおこなわない学生が学年の進行とともに増加すること、2年次に中だるみの傾向が見られること、学年の進行とともに授業外学習の取り組みに二極化が生じていることが分かりました。
 今大会では上記の調査について発表をいたしましたが、さまざまなフィードバックをいただくことができ、実りの多い会合となりました。他の発表などから、高専生には英語学習に対する基本的な動機付けができているということが分かったことは、とくに大きな収穫でした。また、全国の先生方の熱心かつ粘り強い取り組みは、学ぶところが多かったのはもちろんですが、高専の教員として進むべき道を示していただいた思いがして、大変勇気づけられました。多くの気づきと勇気を得る機会を与えていただいたことに、あらためて感謝申し上げます。また、次回以降も参加していく所存でおりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

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高専間交流のすすめ
                    岐阜工業高等専門学校 鈴木基伸
               (平成22年度高専間交流で豊田高専から赴任)

0 はじめに
 高専間交流に応募できる年齢の上限は55歳です。実は私は今年の9月に55歳になりました。なぜ、この年齢で高専間交流を?とお思いになる方もみえると思います。私も心身に負担がかかるのではないか、と当初は心配しました。しかし岐阜高専勤務も9ヶ月が経過した今、やはり思い切って応募してよかったと思っています。以下に私が思っている「高専間交流の意義」について2点述べます。

1 教員としての人生の「断面図」を眺める絶好の機会
 本務校で「前のめり」になって仕事をしていた自分を立ち止まらせ、これまでの教員としての自分の歩みを眺め、振り返る、という機会が高専間交流によって与えられます。これは非常に有意義なことであると思います。ある日、中嶋洋一氏の本を読んでいましたら、「自分自身の『教師年表』を作ってみるといい」というアドバイスが書かれていました。そこで、私は31年間の教師生活を振り返るべく、岐阜の研究室で、『教師年表』を作ってみました。すると、自分の教育に対する姿勢や指導法、また自身の置かれている教育環境がどのように変遷したかが分かってきました。また新任当初から変わらず関心を持ち続けているものが何で、変化しているものが何であるかもわかってきました。このことで、残り少ない定年までの10年未満の年月で何をすべきか、その方向が見えてきたように思います。このように、自分の教員人生の「断面図」をゆっくり眺める機会を、高専間交流は与えてくれます。

2 本務校の教育活動を客観的に眺める絶好の機会
 「九点連結問題」(The 9 Dots Problem)をご存知でしょうか?(ご存知でない方は、次のURLをご参照ください:http://www.cut-the-knot.org/ghint.shtml)この問題は、「縦3×横3=9つの点を4本の連続した直線を用いて結べ」というもので、「9つの点の枠から<はみ出して>直線を引く」というのが、この問題の正解です(上記URL参照)。この問題は、「外から枠組みを眺めなおすと、新しい発想が生まれる」ということを教えてくれます。採用されて定年まで同じ学校に勤務する私たち高専の教職員は、ともすれば、勤務校のみの「閉じられた世界」で物事を考えがちです。その意味で、高専間交流によって、外から勤務校を「第三者的」に眺めることは、非常に有意義なことであると思います。
 岐阜と豊田 - 県境をひとつ越えただけなのに、学校によってこんなに異なるものか、という発見が色々とあり、毎日が新鮮です。「科目」(通年メイン/半期メイン)、「JABEE提出物」(コピー/現物)、「単位追認」(無/有)、「郵便物・配布物」(学科事務室/一室)、「研究室ごみ捨て」(業者/個人)、「式典時体育館設営」(業者/教職員・学生)、「印刷・コピー費」(中央・学科経費/個人研究費)、「夜間時廊下点灯・消灯」(手動/自動センサー)、「指導寮生」(4・5年/2年)等々、違いがあり、その両校の違いを比較することで、「A校の常識、必ずしもB校では常識にあらず」という事実に気づくことになります。このことで、本務校で行われている教育活動を客観視することができます。“A watched pan never boils.”という諺の通り、本務校の「常識」に凝り固まってしまうと行き詰まることもありますが、「一度外の空気を吸って来る」と、その行き詰まりを打開する道が拓けるも知れません。

3 おわりに
 5年生の英語は、豊田では選択科目であるのに対して、岐阜では必修科目になっています。卒業をひかえた彼らはまじめに授業を受けてくれます。毎回の授業の最初に行う小テストに真剣に取り組んでいる彼らの姿には感動さえ覚えます。今、彼らは卒業記念の自動プレゼンファイル(「今、自分が熱中しているもの」を紹介する英文を読み上げ、PowerPointの「ナレーション機能」を使って録音)を作成中です。これと前期に一人ずつ行った英語プレゼンの動画ファイルとをDVDに収め、卒業式に渡そうと思っています。
 英語は専門科目と比べると、教員交流しやすい教科です。勤務校と家族の了解が得られれば、一度、応募されてみてはいかがでしょうか?ちなみに、平成22年度では、私以外に、青山先生(富山→石川)、小熊先生(石川→富山)、藤井先生(沼津→香川)の3名の先生方が高専間交流で他高専に勤務していらっしゃいます。

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編集後記

 COCET通信第20号をお届けします。
 本年度の研究大会は、初の北海道での開催になりました。参加者もほぼ例年通りであるばかりでなく、多数のCOCET研究大会初参加の先生方をお迎えし、活気あふれる大会になりました。
 私事で恐縮ですが、鈴木先生がお書き下さいましたように、今年度は高専間教員交流で4人の英語科教員が他高専へ派遣され、私もそのうちの一人です。交流教員となって他高専でお世話になる立場になってみて、改めてCOCETのヒューマンネットワークのありがたさを実感するとともに、受け入れ側の教職員の皆様の暖かいご支援に心から感謝しています。交流教員を迎える立場になった時には、自分がしてもらったようにしてあげよう、と心に誓う今日この頃です。教科の特性もあり、交流に派遣される教員数では、英語は他の教科を圧倒していますが、ここでもCOCETが重要な役割を果たしていると言ってよいでしょう。
 次号は、4回目を迎える高専プレゼンテーションコンテストを中心にお届けする予定です。年々、レベルが上がり、高専4大コンテストの1つとして、すっかり定着しました。激戦の予選を突破された参加チームの皆様、ご健闘を心よりお祈りいたします。
                         (編集 青山晶子)

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